今年9月に米国カンザス州で開かれた「インターナショナル・フィンガースタイル・ギターチャンピオンシップ」。1972年に始まった歴史と権威あるコンテストで、グラミー賞を受賞した世界的ギタリストのダグ・スミスさん(米国)も1位になった。日本人では2010年、田中彬博(あきひろ)さんが唯一1位になっている。
MOMOさんは日本での大会に勝ち、日本代表として臨んだ。各国から約40人が出た予選では「戦場のメリークリスマス」など2曲を弾き、5人だけという本選出場を決めた。
小学6年の時、初めて聴いた生演奏に魅了されギターを始めたMOMOさん。中学時代はほぼ毎日、神戸・三宮でストリートライブを開いた。大阪音楽大学短期大学部専攻科で学び、卒業後の2009年、オリジナルアルバムでデビューした。
今は関西を中心にライブ活動を展開し、テレビにも出演する。さらなる成長への転機は昨夏。新作100曲制作やワンマンライブ開催を目標にニューヨークへ渡り、約3カ月の“武者修行”をした。「刺激を受け、曲のスタイルが増えた」と振り返る。
カンザスのコンテスト。本選では東北復興を願って作った「PRAY(祈り)」を演奏した。自らも8歳で阪神・淡路大震災を経験。自宅は大丈夫だったが、あの揺れの恐怖は覚えている。「PRAY」は東日本大震災の発生4日後に作った。織り成す和音と静かなメロディー。復興へのエールを込め、後半は力強く盛り上がる。
結果は4位。会場は大きな拍手に包まれ、昨年の1位奏者からは合同ライブの打診を受けた。「1位になれず、本当に悔しかった。でも創作意欲がさらに増した」とMOMOさん。「支えてくれた人に感謝し、世界一のギタリストを目指し、励みたい」と話す。 |